マーケターが選んだGoogle Tag Manager(GTM )変数ベスト3
「このボタンのCVRを計測したいから、ボタンにこのタグを貼ってほしい」
「あのページだけでリターゲティング広告を出したいから、bodyにこのタグを埋めてリリースしたい」
今まではマーケターがサイト解析を検討するたびに、開発(エンジニア)に作業依頼をかけ、さらにリリースを待って・・・とする必要がありました。しかしその煩わしさは、「タグマネージャー」の登場で激変したのです。
本記事ではマーケターである筆者が、タグマネージャーの概念とその実用的な使い方についてご紹介します。
タグマネージャーとは
一般的にWebサービスや広告のアクセスや効果を解析するためには、様々なツールが必要になります。アクセス解析を行う、広告の効果計測、閲覧者の動向やアクションを解析するなど、様々な解析を行うためには、対象のWebページにトリガーとなる「HTMLに挿入する解析のためのコード」いわゆる解析タグを埋め込む必要があります。しかし解析したい項目が増えれば増えるほど、挿入するタグが増えて管理が大変になってしまう傾向があります。
それらの解析タグを一元管理するためのツールがタグマネジメントツール、一般的には「タグマネージャー」と呼ばれています。
タグマネージャーを利用することで
・Webページに挿入するコードはタグマネージャー1つのコードのみ
・ページソースが整頓されるため、読み込み速度に好影響をもたらす
・タグの有効/無効、追加/削除などをまとめて管理することができる
などの恩恵が受けられます。
現在、色々なベンダーがタグマネージャーを提供していますが、無料で使える高機能なタグマネージャーの二大巨頭がGoogleタグマネージャー(以下、GTM)とYahoo!タグマネージャー(以下、YTM)です。
特にGTMはGoogleが提供するタグマネージャーで、2014年3月にリリースされて以来、その利用のしやすさで瞬く間に業界シェアを拡大しました。
インディバルでも現在、多くのサービスでGTMを導入しています。
GTMがYTMより使いやすい点の1つに、「タグだけではなく動的なデータのやり取りもできる」という特徴があります。GTMを使うと、今まで開発(エンジニア)へ依頼しなければ導入できなかった様々な施策も、マーケターだけで導入することが可能になります。
本記事では、GTMで特に使いやすいと思われる変数3選をご紹介したいと思います。
1、Javascript変数
HTML上からDOM要素でも取得できないデータをGTMへ送りたい場合に便利です。
例えば、Webフォームの「申し込み完了」ページで、完了したユーザーの属性情報などを複数のタグへ返したい等の場合に使えます。
1) GTM上でJavascript変数を登録する。
2) Javascript変数へHTML上から値を格納する。
var go_device = “pc”
</script>
“pc”の部分は固定値でも動的にシステムから吐き出してもOKです。
これだけでGTM上の変数へHTML上からデータ格納が完了します。
3) あとはGTM上で自由に利用することができます。
・各タグの要素に使ってもよし
・トリガーに使ってもよし
・カスタムHTMLで変数として利用してもよし
この様にJavascript変数を使えば、オリジナルのCVタグや属性取得タグを作成しておいて、GTM上で汎用的に各サービスのタグへも使うことができます。開発にオーダーを出さないでもデータを簡単に取得して使う事ができます。
2.ファーストパティcookie
ファーストパティcookieはJavaScript変数と同じように使うことができますが、データのやり取りにファーストパティcookieを使います。Javascript変数と違うのは、サイトへ再訪してもデータを保持していてくれる点となります。
例えば、初めての訪問か2回目以降の訪問かをクッキーに保存しておき、それに合わせたタグ配信などをGTMで設定することが出来ます。
1) GTM上でファーストパティcookie変数を登録する。
2) GTM上でトリガーを作成する。
3) GTM上で上記トリガー条件の時にファーストパティcookieへ値を格納する。
4) サイトへ訪問してブラウザで確認すると、この様にクッキーが格納されました。
この様に本来ならプログラムを開発に依頼するようなことも、GTM上で簡単に操作することができます。
応用次第でプログラムと同じような動きをさせることもできます。
3.ルックアップテーブル、正規表現の表
こちらは入力変数が〇〇なら××を返すというように変数を設定しておけます。
例えば、アナリティクスのイベント設定でclassを使いたいが、全ページ統一されていないためコーディングを全部修正しなくてはならない。ということがあった場合、これを使えば簡単に変換することができます。
1) 組み込み変数からクリックしたクラスを取得するClick Classes変数を設定する。
2) ユーザー定義変数からルックアップテーブル、正規表現の表を作成する。
これだけで変換が完了します。
この変数入力には前述したJavaScript変数やファーストパティcookieも指定できるので、格納されるデータによって変換出力して使うなんてことも簡単にできます。
ルックアップテーブル、正規表現の表の違いは
・ルックアップテーブルは完全一致
・正規表現の表は正規表現一致
共に上から順番にマッチさせていきます。
あとは、イベントタグ設定で作成したルックアップテーブル、正規表現の表の変数を指定すれば変換された値が出力されます。
まとめ
ここまでで紹介した変数を使って、アナリティクスのカスタム変数やカスタムディメンションへ値が反映する様にGTMで設定すれば、独自の属性分析や行動分析を行うことができるようになります。
もちろんその際は個人情報には気を付けるようにしてください。
この様にGTMを使うと今まで開発への依頼が必要だった作業も簡単にGTM上から行うことができます。
GTMは進化を続けており、他にも便利な機能が満載なので極めると1つのシステム構築と変わらないくらいのことができるようにもなります。
是非みなさんも使ってみてください。